artscapeレビュー
オオサカがとんがっていた時代──戦後大阪の前衛美術 焼け跡から万博前夜まで
2013年06月01日号
会期:2013/04/27~2013/07/06
大阪大学総合学術博物館[大阪府]
「大阪」に照明を当てた展覧会の第二弾がこれである。戦後復興期から大阪万博に至る、50~60年代の大阪の前衛芸術の諸相を紹介している。小規模ながらも、出展作は充実している。具体美術協会の作品・資料はもちろんのこと、彼らの活動──大阪・中之島に開設した展示施設グタイピナコテカ──にゆかりのある海外作家たち、サム・フランシスやポール・ジェンキンス、フランコ・アッセット、ルーチョ・フォンタナなどの作品を含んでいる。さらに、パンリアル美術協会、デモクラート美術家協会(早川良雄のポスター)、生活美術連盟など、戦後大阪のアヴァンギャルド芸術作品の様相を見ることもできるし、建築の分野からは村野籐吾の新歌舞伎座の図面などが出展されてもいる。1970年、グタイピナコテカは閉館を余儀なくされ、最終展を迎える。大阪万博は同年に開催されるが、会場の最後には、横尾忠則の「EXPO’70せんい館」ポスターが展示され、まさに「オオサカがとんがっていた時代」の雰囲気を肌で感じることのできる展覧会である。[竹内有子]
2013/05/14(火)(SYNK)