artscapeレビュー
ヨーロピアン・モード2013/特集:華やかな人々
2013年06月01日号
会期:2013/04/12~2013/06/08
文化学園服飾博物館[東京都]
2階は毎年恒例のファッション通史。18世紀ロココの時代から1970年代の若者たちによる多様なスタイルの出現まで、200年にわたるモードの変遷を追う。同時代の社会的経済的背景や風俗などを解説するパネルもわかりやすく、ファッションが個々人の好みではなく、政治的、経済的、社会的な要因と密接に関わり合って変化してきたことが示されている。1階展示では「華やかな人々」が特集されている。オードリー・ヘプバーンが「ローマの休日」(1953)で着用したドレス、ロシア・ロマノフ家のマリア・ニコラエヴナのイヴニング・ドレス(1840頃)、ダイアナ元英国皇太子妃のイヴニング・ドレス(1988)、越路吹雪の舞台衣裳など、女優、歌手、王室、セレブらの衣裳を、誰がどのような場面で着用したのかという解説とともに示している。ファッションはつねに時代や社会とともにありながらも、個々人のアイデンティティの発露でもあるというふたつの側面が奇しくも現われた構成になっている。[新川徳彦]
2013/05/22(水)(SYNK)