artscapeレビュー
鍛冶谷直記 展「JPEG」
2014年03月01日号
会期:2014/01/21~2014/02/15
猥雑な盛り場など、日本各地に残る薄っぺらな風景を撮影した写真作品《JPEG》で知られる鍛冶谷直樹。東京都写真美術館で先月まで開催された「日本の新進作家 vol.2」に選出され、蒼穹舎から初の写真集『JPEG』が出版されるなど、その評価は着実に高まりつつある。出版を記念した本展で改めて彼の作品を見ると、画面に写し出されたグダグダな風景に対して、恥ずかしさと愛着が入り混じった複雑な感情を抱かずにはおれない。駄目な奴、ダサい奴とわかっているが、縁を切る気になれない旧友、的なものであろうか。同時に、これらの風景は極めて昭和的であり、今後急速に姿を消すかもしれないことを実感した。
2014/01/23(木)(小吹隆文)