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PARASOPHIA 京都国際現代芸術祭2015[プレイベント作品展示] ウィリアム・ケントリッジ《時間の抵抗》

2014年03月01日号

会期:2014/02/08~2014/03/16

元・立誠小学校 講堂[京都府]

来年に予定されている「PARASOPHIA 京都国際現代芸術祭2015」のプレイベントとして開催された本展。ケントリッジが2012年の「ドクメンタ13」(ドイツ・カッセル)のために制作した映像インスタレーションの大作《時間の抵抗》が本邦初公開された。本作は、科学史家ピーター・ギャリソンとの近代物理学史を巡る対話と、南アフリカのダンサー、ダダ・シマロとのワークショップの過程から生み出されたもの。5面のスクリーンに映し出される映像と多重音響、運動機械などからなり、映像を投影する壁面には古い倉庫のようなセットが組まれていた。実はかなり難解な作品だが、同時に豊かな詩情をたたえており、筆者は主に後者の観点から本作にアプローチした。純度を落とすことなく多様な知識レベルの人に対応できるケントリッジは、本当に懐が深い。なお「PARASOPHIA~」は今後も次々とプレイベントを開催する予定。来年の本番に向け、徐々に関心が高まることを願う。

2014/02/07(金)(小吹隆文)

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