2021年12月01日号
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artscapeレビュー

ポンピドゥー・センター・コレクション フルーツ・オブ・パッション

2014年03月01日号

会期:2014/01/18~2014/03/23

兵庫県立美術館[兵庫県]

ポンピドゥー・センターにあるパリ国立近代美術館のコレクションを紹介する展覧会。ダニエル・ビュラン、ゲルハルト・リヒター、サイ・トゥオンブリーらの巨匠による作品と、ここ10年のあいだに同館に寄贈された現代アートの作品、あわせて31点が展示された。
会場を一巡して思い至るのは、展示された作品の質の劣悪さ。玉石混交というより、アンリ・サラの優れた映像作品を除いて、ほぼすべての作品が「石」にすぎなかったのではないか。むろんビュランやリヒター、トゥオンブリーらの作品は「玉」ではあるのだろう。だが、そのことすら怪しく見えるほど、本展の「石」はおびただしい。
例えばハンス=ペーター・フェルドマン。回転する日用品の影を壁面に映し出す作品だが、これは言うまでもなくクワクボリョウタの代表作と著しく似通っている。重要なのは、どちらがオリジナルであるかではなく、作品として優れているのは明らかに後者であるということだ。後者には影絵のシルエットが次々とドラマチックに変動する美しさがあるが、前者にはそれが欠落しており、だからといってそれに匹敵する特質も見受けられない。ただただ、浅いのだ。会場の全体に漂っている虚無的な雰囲気に、暗澹たる心持ちにならざるをえない。
こうした極端な偏りが、コレクションを選定する鑑識眼によるのか、コレクションのなかから出品作を選び出すキュレーションのセンスに由来するのか、あるいはそもそもヨーロッパの現代アートに通底する一般性の現われなのか、正確にはわからない。けれども、「ポンピドゥー・センター・コレクション」という冠が色褪せて見えたことは事実である。しかし、もっと豊かで、もっと面白い、つまりもっとおいしいアートが確かに存在することを私たちは知っている。洋の東西を問わず、どれほど華美に装飾された果実であったとしても、不味ければ決して口にはしないものだ。

2014/01/25(土)(福住廉)

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