artscapeレビュー
「直島建築+The Naoshima Plan」直島建築ツアー
2016年09月15日号
[香川県]
直島建築ツアーに参加する。ベネッセとしては初めての試みらしい。石井和紘が設計した文教地区の幼児学園、保育園、中学校、体育館、小学校、和洋折衷の役場、そして三分一博志による《直島ホール》、リノベーション住宅の《またべえ》を見学した。初めて内部に入ることができる物件があり、貴重な体験だった。1970年代の石井建築の計画学的なプログラム、空間の構成、完全な記号引用型のポストモダンになる前の複雑なデザイン操作など、もっと再評価されてよいと思う。三分一博志はいずれも風や水の建築である。役場のすぐ隣の《直島ホール》は、記号ではない大屋根とその下に広がる大空間が、見たことがない雰囲気を生み出す。集会所も大屋根の下に、屋根をもつ分棟の間を風が吹く。《またべえ》は美しい苔のある庭も忘れがたいが、夏冬の変化に応じて着脱しながら、環境を調整する。
写真:左上=《直島中学校》武道館 左中=《直島中学校》校舎 左下=《直島町役場》 右上=《直島小学校》 右中=《直島ホール(直島町民会館)》 右下、《直島の家 ─またべえ─》
2016/08/13(土)(五十嵐太郎)