artscapeレビュー

Gallery街道 オープニング展

2016年09月15日号

会期:2016/08/20~21、27~28、09/03~04

Gallery街道[東京都]

尾仲浩二が東京・南新宿の青梅街道沿いのビルの3階にGallery街道をオープンしたのは1988年。壁を銀色のペンキで塗り、のちに写真集『背高あわだち草』(蒼穹舎、1991)にまとめられる「背高あわだち草」のシリーズを28回にわたって展示した。1992年にいったん閉廊するが、2007年に南阿佐ケ谷のアパートを改装して第一次Gallery街道をオープンする。こちらは中断期間を挟んで2014年まで続いた。
写真家たちが自分たちで運営する自主ギャラリーには、どうやら抗しがたい魅力があるようだ。一度メンバーになれば、仲間たちと苦労をともにしながら活動を続けていくなかで、さまざまな出会いと別れがあり、ギャラリーの生き死ににも立ち会うことができる。尾仲もまた、そんな自主ギャラリーの引力に引き寄せ取られてしまった1人と言えるだろう。
そのGallery街道が、今回、中野駅北口近くにリニューアル・オープンすることになった。メンバーは尾仲のほかに岡部文、佐藤春菜、鈴木郁子、中間麻衣、河合紳一、小松宗光、酒巻剛好、本庄佑馬、藤田進である。そのお披露目の展示は、とりあえずの顔見せ展という感じだったが、尾仲とともに第一次Gallery街道を立ち上げた藤田進や、第二次Gallery街道のメンバーだった佐藤春菜など、自主ギャラリーの展示空間を熟知しているメンバーがいるのが心強い。彼らと新人メンバーとがうまく噛み合って、活気のある意欲的な展示活動を展開していってほしい。
9月からは岡部文展(9月10~18日)を皮切りに、メンバーの写真展が次々に開催される。メンバーだけだとマンネリになりがちなので、ゲスト作家の展示もうまく挟み込んでいくといいと思う。

2016/08/28(飯沢耕太郎)

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