artscapeレビュー
Mitsutoshi Hanaga Archives Project:羽永光利アーカイブ展
2016年09月15日号
会期:2016/07/23~2016/08/20
AOYAMA|MEGURO[東京都]
今日は東横線沿線のギャラリー3連発。どこも駅から歩いて10~15分ほどかかるので、真夏は決死の覚悟でのぞみたい。最初は中目黒から駒沢通りを10分ほど歩いた「青山|目黒」。途中ゆるい上り坂になってるが、右手の村野藤吾設計の瀟洒なビル(現在は目黒区役所として使われている)が目の保養になる。ギャラリーでは羽永光利の写真展を開催中。羽永さんは60年代の前衛芸術の現場に密着していた写真家で、ぼくも80年代前半にしばしばお会いしたが、ずんぐりむっくりの体型で脚を引きずりながらカメラを抱えて歩く姿には畏敬の念を覚えたものだ。1933年生まれというから、ネオダダの連中とほぼ同世代。その後お会いすることもなくなったが、99年に亡くなられたという。写真は60~80年代の200点を超すモノクロ(一部カラー)を、「前衛芸術」「演劇」「舞踏」「世相」に分けて展示。瀧口修造、西脇順三郎、志水楠男、針生一郎、東野芳明、中原佑介、ジャスパー・ジョーンズ、吉村益信、篠原有司男、高松次郎、赤瀬川原平、中西夏之、工藤哲巳、磯崎新、蜷川幸雄、唐十郎、土方巽、麿赤児など、前衛の季節を生きた芸術家たちが活写されている。女性がきわめて少ないのは羽永さんの恥じらいゆえか。
2016/08/03(水)(村田真)