2021年03月01日号
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artscapeレビュー

大巻伸嗣 絶景

2009年11月01日号

会期:2009/08/01~2009/11/08

トーキョーワンダーサイト渋谷[東京都]

大巻伸嗣の個展。「環境とゴミ」をテーマにリサーチを重ね、ゴミを焼却処分された後に生成される「溶解スラグ」を用いた新作など、3点を発表した。《真空のゆらぎ スカイライン》は、1階に富士山のような円錐型の山塊を置き、その上部にあたる2階をまるごと溶解スラグで埋め尽くしたもの。物質の形体を整えて美的な効果を狙うアーティストが多いなか、大巻はむしろ物資の膨大な量で鑑賞者を圧倒する。映像インスタレーションの《言葉の無い予言》も、溶解スラグで造成した「黒い砂浜」で湾岸の映像を見せる作品だが、これは都市の環境問題を鋭く告発することはもちろん、「黒い砂浜」の物質的な強度を見せつけることによって、形式美を追及するアートが快適で心地よい「白い砂浜」を上書きしているにすぎないことを批判的に暴き立てているように見えた。どちらが社会的に有意義であるかは、一目瞭然だろう。

2009/09/25(金)(福住廉)

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