2021年03月01日号
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artscapeレビュー

ヨナタン・メーゼ展 ミシマ・イズ・バック

2009年11月01日号

会期:2009/09/05~2009/10/03

小山登美夫ギャラリー[東京都]

「横浜トリエンナーレ2008」に参加したヨナタン・メーゼの個展。三島由紀夫やアドルフ・ヒトラーなどの図像、原色をふんだんに盛り込んだ表現主義的な絵画、壁に直接書きつけられたメッセージ、パフォーマンスを記録した映像作品などで会場を構成している。混沌とした雰囲気を醸し出そうとしているのはまちがいないとはいえ、芸術の独裁制を説くヨナタンの思想をもとに考えてみると、混沌をエスカレートさせればさせるほど、芸術の独裁制というヴィジョンの稚拙さが浮き彫りになってしまっているように思えてならない。形式的にはむしろ洗練された手法をとる森村泰昌が、同じように作品のなかで芸術の独裁性を説いたことがあったが、ヨナタンとは対照的に、その野望を説得力のあるかたちで魅力的に鑑賞者に届けていた。ファシズムがそうであるように、人びとを惹きつけるには、何よりもまず圧倒的な美しさが必要である。芸術の独裁制を本気で説くのであれば、まず腹筋を鍛えろとヨナタンに言いたい。

2009/10/01(木)(福住廉)

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