2021年03月01日号
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artscapeレビュー

放課後のはらっぱ 櫃田伸也とその教え子たち

2009年11月01日号

会期:2009/08/28~2009/10/25

愛知県美術館[愛知県]

愛知県立芸術大学に勤務していた画家の櫃田伸也と、彼の教え子にあたる奈良美智や杉戸洋、小林孝亘、村瀬恭子、渡辺豪、小林耕平、安藤正子など19名による展覧会。櫃田による作品およそ70点と教え子たちによる作品約130点で構成したかなり大規模な展示になっている。空間を明確に区別することなく、櫃田の作品と教え子たちの作品をゆるやかに混在させた展示構成がすばらしい。かといって間延びしているわけではなく、学生時代の課題をまとめて展示したり、櫃田の絵画作品の変遷を一挙に見せたりすることで、要所でメリハリをつけている。櫃田の初期の作品に見られるコンクリートの上の血しぶきのような痕跡は、戦争による暴力の傷跡を連想させるが、時を経るにつれてそれが次第に画面から遠のいていく一方で、隔世的に設楽知昭の《透明絵画》に転移しているように思えた。白と青だけで構成された設楽の画面は、彼岸と此岸のあいだで揺れ動く魂が見た光景のようであり、明らかに死の匂いが立ち込めているが、これは櫃田が戦争直後の街並みに見出していた死の光景と近しいのではないだろうか。

2009/10/10(土)(福住廉)

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