2021年06月15日号
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artscapeレビュー

山本聖子 個展 空の風景

2009年11月01日号

会期:2009/10/12~2009/10/17

コバヤシ画廊[東京都]

新聞の折り込み広告に必ず入っているのが、単色刷りの住宅情報。山本聖子はそれらを丹念に収集し、そこに印刷された間取り図を丁寧に切り取り、赤系のものを床に敷き詰め、青系のものを壁に水平方向に連結させながら展示した。白い壁の前に連続して立ち並ぶ間取り図は、線だけを残して面をすべて抜き落としているので、抜け殻のように頼りなく、複雑に組み合わされた青いフレームだけが眼に飛び込んでくる。間取り図が人びとの欲望が投影される器だとすると、山本が示したのはそうした欲望の視線に貫かれた後の残骸なのかもしれない。その亡骸が住まいをめぐる私たちのリアリティを強く刺激することはまちがいない。なおかつ、それらが生前の営みを想像させるところがまた、大きな特徴である。

2009/10/17(土)(福住廉)

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