2019年07月01日号
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artscapeレビュー

2009年02月01日号のレビュー/プレビュー

黒沢美香&ダンサーズ「家内工場」

会期:2009/01/12

スタジオクロちゃん[東京]

黒沢美香は、モダンダンスの世界でまたコンテンポラリーダンスの世界で最重要ダンサー、振付家であったし、いまでもそう。本公演は、彼女と稽古や公演をともにしているダンサー、振付家が集まっての小作品集。会場は稽古場。恩田香、長野れいこ、木檜朱実、岸本あずさの振り付け、その他、朗読やライヴ演奏があった。全体として誠実さは感じる。けれども、正直、物足りない気持ちにもなる。そのなか、黒沢は長野れいこの振り付けで踊った。頭にカセットテープを乗せてゆっくりと歩いて登場。舞台奥からラジカセを取り出して頭にあったテープをセットすると、流れる静かな曲をバックに、柔らかく円を描いてステップを踏んだ。窓から差し込む光だけが照らす、伸びた足先のやりとりは、なんともいえず美しく、ジャンルを超えた「ダンスそのもの」がそこにあった。

2009/01/12(月)(木村覚)

TARO賞の作家I

会期:10/11~1/12

川崎市岡本太郎美術館[神奈川県]

岡本太郎現代芸術賞、通称TARO賞の歴代受賞者のなかから、今井紀彰、えぐちりか、開発好明、風間サチコ、棚田康司、横井山泰の6名による新作を発表する展覧会。ここでも飛びぬけていたのは、開発好明。発泡スチロールと蛍光灯を組み合わせたインスタレーション、洗濯機のなかに植物を植え込んだ作品、さらにはコカコーラやお茶、そしてネクターなどの飲料を口に含んですぐ吐き出す映像作品などを見せた。

2009/01/12(月)(福住廉)

レインボー喜寿 靉嘔 ~版画作品を中心に~

会期:1/6~2/11

三鷹市美術ギャラリー[東京都]

なんでもかんでもレインボーカラーに還元してしまう作風で知られる靉嘔の回顧展。とにかく何を見てもすべて虹色なので、色だけ見ていても面白くもなんともない。なんとかして楽しむためにも、見る者はおのずとそこに線とかたちの痕跡を見出し、何が描かれているのか、思いを巡らすことになる。結局、人は線とかたちと色の要素からは逃れられないのではないかと思っていたら、最後の最後でモノクロームの作品が登場して、びっくりした。

2009/01/12(月)(福住廉)

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magical, TV

会期:2009/01/13

superdeluxe[東京]

精神科医でアートコレクターの岡田聡が運営するギャラリーmagical, ARTROOM。その3周年記念イベントが六本木で催された。OFFSEASON featuring 大谷能生の演奏や遠藤一郎の楽器を用いたパフォーマンスなどが上演された。タイトル通り、このイベントにはweb上のテレビ番組・DAX LIVE!!が入り込んでいて、ライヴは同時にテレビ収録のスタジオともなっていた。また最初のコーナーでは「一人ごっつ」やBSの番組「TOKYOブレイクする~!」の制作者・倉本美津留が岡田とのトークに出演するなど、テレビとアートの連携はいかにして可能かといったテーマが貫かれていた。
このテーマ自体は興味深い。テレビ的形態に浸りきったぼくたちの観賞態度を見事クラブイベント化した一昨年の「ぷりぷりTV」を思い出させる。けれども、会場にいて、こりゃマズイぞと思った。この場でアートはテレビに浸食され、テレビ的フレームにパフォーマンスの躍動は押し込められていた。上演中にプレイヤーと観客の前に差し出される「あと5分」「終了」のカンペ。上演後にもプレイヤーは、民放的な軽薄さを帯びたトークにつきあわされ、時間つなぎをやらされる(せっかくweb上にあるテレビ番組なのにどうして民放の真似をするのだろう。webの番組らしいトークのあり方を探すべきでは)。
さすがにちょっとこれはと思ったのは、(音がバンド名)のメンバー小林亮平のパフォーマンスが予定の10分より早く終了させられていた(気がした)こと。シールドを差し込んだりスイッチを入れたり演奏の準備をしつつその間ひたすら自分の現況を叫ぶ小林の演奏(?)は、あえて言えばこの日一番「一人ごっつ」的な時間だったのに。「カントリーロード」を絶唱した遠藤が最後に時間オーバーを詫びたその言葉は、アートではなくテレビへ向けられていてなんだか切なくて、けれどもそうした一種の暴力に対してさえ閉じない優しさは、遠藤流のアートをかたどってもいた。
magical, TV:http://www.magical-artroom.com/events/090113/magicalTV.shtml

2009/01/13(火)(木村覚)

松山淳 個展 ダイエット菩薩「翻弄」

会期:1/13~25

立体ギャラリー射手座[京都府]

雑誌のダイエット広告で見かけるビフォー・アフターの画像を、仏像のポーズを引用して立体作品にしている。手本になったのは、みかえり阿弥陀如来(永観堂)と日光・月光菩薩(薬師寺)。メディアに翻弄されるわれわれの価値観を信仰と絡めてコミカルに表現しているのが良い。彼は以前にもモデルの四天王像やグラビアアイドルの観音様を制作しており、昨年は名古屋でそれらを一堂に集めた個展も行なっている。できれば京都で、できれば寺院で、その展示を見たいものだ。さすがに罰あたりと怒られそうだが。

2009/01/13(火)(小吹隆文)

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