artscapeレビュー

中島麦「悲しいほどお天気」

2011年11月15日号

会期:2011/09/09~2011/10/10

gallery OUT of PLACE[奈良県]

中島麦が新作を発表していた。大通りから少しだけ離れた静かな住宅街の路地にあるギャラリーの、外から見えるガラスのショーケースに木漏れ日をイメージさせる絵画が展示されていたのだが、そこに実際に木漏れ日が当たり、ざわざわと揺れ動く葉の影が重なっていた。画面の表情が豊かに変化して見えるその光景が美しい。今展では、ギャラリー内の壁全面に描かれた壁画も新たな試みの大作で見どころだった。青や水色の色面が印象的なその壁画を見て、一緒に訪れた母が「クジラのような海の大きな生き物に見える」「停泊した船と穏やかな湾」と、私には想像もつかなかったイメージを語っていたのが新鮮だったが、さらにファイルに収められたドローイングや、ずらりと並んだ壁画と同形の小作品を見ながら「ダイナミックだけど日本画のような繊細な趣き」と言っていて興味深く思った。また今回は、夏に東北を旅した際に撮影した写真を繋ぎ、映像にした作品も発表。会場全体が風景、時間、季節、天気といくつもの要素が連関して成り立つ作品となっていた。

2011/10/07(金)(酒井千穂)

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