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artscapeレビュー

中野愛子「Season’s Greetings」

2011年11月15日号

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会期:2011/09/30~2011/10/12

GALLERY SPEAK FOR[東京都]

中野愛子は多摩美術大学絵画科卒業後、1996年の第8回写真「ひとつぼ」展でグランプリを受賞し、写真家として本格的に活動しはじめた。いわゆる「女の子写真ブーム」の代表的な作家のひとりだが、それから15年あまりが過ぎ、同世代の写真家たちの多くが写真家として仕事を続けられなくなってきているなかで、粘り強く、コンスタントに作品を発表し続けてきた。今回の「Season’s Greetings」展を見ても、被写体を軽やかに捕獲していく、弾むようなカメラワークが健在であるだけでなく、モデルとのコミュニケーションのとり方がスムーズになり、写真家としての経験に裏づけられた安定した水準の作品を生み出せるようになってきている。
今回のシリーズは、ヘアメイクアップアーティストの貴島タカヤとの共作で、有名・無名のモデルたちを「月に一回のペースでその月のイメージや記念日をテーマに撮影」したものだ。歌手、女優、タレントから、貴島本人やその祖母まで、それぞれが、かなり演劇的な役割をこなすように場面設定されているし、実際に過剰なメイクアップや大げさな表情の写真も多い。だが、これは中野の写真家としての持ち味といえそうだが、非日常的な状況でもどこか当たり前に見せてしまうような平静さがある。演出的な要素が強調されている写真より、むしろさりげない(あるいは、さりげなさを装った)スナップに可能性がありそうな気もする。

2011/10/08(土)(飯沢耕太郎)

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