2017年08月01日号
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artscapeレビュー

中山岩太 展

2011年11月15日号

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会期:2011/10/08~2011/11/20

MEM[東京都]

1930年代の輝かしい「新興写真」の時代を駆け抜けた中山岩太の作品展が、恵比寿・NADiff a/p/a/r/t階上のギャラリーMEMで開催された。中山が他の写真家たちと決定的に違っていたのは、20歳代から30歳代にかけてニューヨークやパリで過ごしていることだ。日本の写真家たちの多くが雑誌や写真集からの知識としてしか身につけることができなかった、欧米の写真モダニズムの息吹を、文字通り浴びるように吸収できたわけで、それが彼の作品に日本ともヨーロッパともつかない不思議なオーラを生じさせている。
今回の展示は10部限定で制作されたモダン・プリントによる『中山岩太ポートフォリオ』(中山岩太の会、2010)をもとにしている。全12点には、第一回国際広告写真展に出品して1等賞を受賞した《福助足袋》(1930年)から遺作となった《デモンの祭典》(1948年)まで、代表作がきちんとフォローされており、行き届いた構成といえるだろう。写真家のネガからの再制作にはいろいろな問題がつきまとう。だが、それが完璧に為される場合は、美術館での展覧会以外は見ることができない作品を身近に置くいい機会になるわけで、今後は他の「新興写真」の写真家の場合も大いに可能性があるのではないだろうか(たとえば安井仲治、小石清、坂田稔、山本悍右など)。むろんその制作においては、今回の比田井一良(銀遊堂)のように、高度な技術を備えたプリンターの能力が一番重要な鍵になることはいうまでもない。

2011/10/16(日)(飯沢耕太郎)

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