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artscapeレビュー

進藤万里子「bibo -SP KL TK-」

2011年11月15日号

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会期:2011/10/14~2011/11/05

ツァイト・フォト・サロン[東京都]

進藤万里子が「bio」や「body」を連想させる「bibo」というタイトルで作品を発表しはじめてから、もう10年あまりになる。個展の数も今回で10回を超え、蒼穹舍から同名の写真集も刊行されたので、一区切りの時期にきているのは間違いないだろう。
今回の展示にはSP KL TKという記号のようなものが添えられているが、これはサンパウロ、クアラルンプール、東京の略称。つまり、これらの都市で写真が撮影されているということなのだが、鏡やガラス窓に映る像を舐めるように写しとり、モノクロームのロールペーパーに大きく引き伸ばしたプリントを壁から吊るすという作品の内容、形式が最初からまったく変わっていないので、いつ見てもいっこうに代わり映えがしない。この歪んだ画像と、白黒のコントラストを強調したプリントのあり方に進藤が強く執着し、そこに他に変えがたいリアリティを託していることはよくわかる。だがその「変わらなさ」は、近作になるにつれてむしろ表現者としての彼女の首を絞め、彼女自身にも、作品を見るわれわれ観客にも閉塞感を与えているように思えてならない。
自分のやり方に頑固にこだわるという姿勢は、とても大事なことだ。だがそれは時に、一歩踏み出していくという勇気のなさを覆い隠す、言い訳になってしまうことがある。いま、進藤に起こりかけているのがまさにそれだろう。恐れることはない。固定してしまった自らの作品世界を突き崩し、さらに先に進むべきだ。

2011/10/19(水)(飯沢耕太郎)

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