2018年10月15日号
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artscapeレビュー

市橋織江「WAIKIKI」

2015年06月15日号

会期:2015/04/24~2015/05/16

EMON PHOTO GALLERY[東京都]

地域:東京都
市橋織江の写真を見ていると、彼女が「フェイスブック世代」の写真愛好家たちにとても人気がある理由がわかるような気がする。フェイスブックやインスタグラムなどにアップされている写真の多くは、折りに触れて撮影された「気持ちのよい」スナップショットであり、市橋の写真とやや希薄な色合いや、柔らかに包み込まれるような感触が共通しているからだ。
たしかに、今回東京・広尾のEMON PHOTO GALLERYで展示された「2006年から毎年訪れるハワイで撮りためた未発表作品から選りすぐり」の27点の作品を見ても、親しみやすい、「私でも撮れそうな」写真が並んでいるように感じられるだろう。だが、見かけに騙されないようにしたい。市橋の写真の質は、実はきわめて筋肉質であり、光や大気の微妙な変化をキャッチする皮膚感覚は研ぎ澄まされている。中判カメラとネガフィルム、銀塩プリントへのこだわりは、自ら「心中したい」と語っているほどであり、スマートフォンのカメラで撮影した写真とは相当にかけ離れたものだ。その、プリントのクオリティへのこだわりは、やはりギャラリーでの展示で確認するしかない。EMON PHOTO GALLERYでの個展(今回で3回目)を定期的に開催しているのは、とてもいいことだと思う。
とはいえ、市橋の写真のあり方も、そろそろ変わってきてもいい頃ではないだろうか。スナップショット一辺倒ではなく、何かに(誰かに)視線を強く集中したシリーズも見てみたいものだ。

2015/05/09(土)(飯沢耕太郎)

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