2018年12月01日号
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artscapeレビュー

マイク・カネミツ/金光松美──ふたつの居場所

2015年06月15日号

会期:2015/04/24~2015/05/16

大阪府立江之子島文化芸術創造センター[大阪府]

3年前、大阪府立現代美術センターに代わってオープンした江之子島文化芸術創造センターへ。大阪府のコレクションによる約40点の中規模な回顧展をやっていた。金光の名はぜんぜん知らなかったけど、抽象表現主義の画家として活躍した人らしい。1922年に広島に生まれ、16歳で渡米し、50年代にニューヨークで抽象表現主義の絵画を制作。65年にロサンゼルスに移り、92年に死去。つまり戦後アメリカのアートシーンのど真ん中にいたわけだが、その割に知られてないのは作品のせいもあるけど、遅れてきた日本人だからかもしれない。具象から抽象に転じたのは50年代なかば、すでに抽象表現主義もピークをすぎるころ。しかも日本人が追随しても追いつけないというか、追い越さなければ評価されなかったでしょうね。だいたいニューヨーク時代はフランツ・クラインかクリフォード・スティルを思い出させ、西海岸以降はサム・フランシスかポール・ジェンキンスを彷彿させるし。でも60年代の《5-5》《5月の夢》《私、OK?》あたりはまだ画面構成のおもしろさがあるのだが、70-80年代になると叙情に走り、晩年には絵具の滴りで星を暗示する類いの陳腐な宇宙的表現に陥ってしまう。それでも人脈が広いうえ(国吉康雄、ポロック、ラウシェンバーグ、ハロルド・ローゼンバーグ、吉原治良、森田子龍、藤枝晃雄……)、日本的な墨の芸術を連想させることもあってか、50年代からほぼ毎年のように個展を開催。98年には大阪と広島の美術館で回顧展を開いてる。この手の画家、発掘すればまだいるのかも。

2015/05/08(金)(村田真)

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