岡崎和郎展「御物補遺」:artscapeレビュー|美術館・アート情報 artscape

2018年08月01日号
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岡崎和郎展「御物補遺」

2015年06月15日号

会期:2015/04/27~2015/06/14

ギャラリーあしやシューレ[兵庫県]

「御物補遺(ぎょぶつほい)」とは、岡崎和郎が1960年代に提唱した造形概念。英語表記の「supplements」(補足、補遺、付録)が表わすように、「従来の美術表現で見落とされてきたことを補う」を意味し、日常的な物体の表と裏、内と外を反転させてつくられているオブジェ作品が多い。
今回の個展で数点展示された《HISASHI》はその代表例。《HISASHI》は、日本家屋の外壁に取り付けられる庇をモチーフにしたオブジェを、ギャラリーの内側の壁に取り付け、「風雨をしのぐ」という本来の機能を剥ぎ取ることで、空間の内と外を鮮やかに反転させる。他にも、キューピー人形や招き猫の表と裏を反転させることで、輪郭が曖昧に溶けかけているようなオブジェも展示された。デュシャンのレディ・メイドやマン・レイのオブジェの系譜に連なりつつ、反転という操作によって外側から内側へ、取るに足りない部分から全体へと、侵入を企て、境界線を撹乱させ、区分を突き崩すような岡崎の作品群は、掌に収まるような小さく愛らしい見かけのなかに、空間に対する既存の概念や美術の制度に対する攻撃性を秘めている。小規模ながらも、岡崎のオブジェ作品をまとまって見ることができた良い機会だった。

2015/05/16(土)(高嶋慈)

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