2017年11月15日号
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artscapeレビュー

大英博物館国際共同プロジェクト 北斎─富士を超えて─

2017年11月01日号

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会期:2017/10/06~2017/11/19

あべのハルカス美術館[大阪府]

カテゴリー:美術
本展は葛飾北斎の晩年30年に的を絞った企画展で、あべのハルカス美術館と大英博物館の共同プロジェクトである。先に行なわれた英国展は、同国では70年ぶりの北斎展ということもあり、約15万人を動員するヒットとなった。北斎の展覧会は関西でもしばしば行なわれているが、本展は約200件の作品のうち肉筆画が66件を占めており(海外の美術館の所蔵品を多数含む)、これまでの北斎展と比べても出色の出来栄えである。見所はやはり肉筆画で、特に展覧会末尾に並ぶ《富士越龍図》《李白観瀑図》《雪中虎図》など最晩年の作品は孤高の境地に達し、凄みすら感じられた。また、信州・小布施で描いた作品で、北斎が波の表現の極致とも言われる《濤図》、晩年の北斎を支えた三女・お栄(応為)の作品、浮世絵の原画の校正であろうか、描き直しや朱が入った作品などもあり、非常に見応えがあった。この秋、関西では「国宝」展(京都国立博物館)や「大エルミタージュ美術館展」(兵庫県立美術館)など話題の展覧会が相次いでいるが、本展はけっしてそれらに負けていない。むしろ深みやコクが感じられる点で、それらに勝っていると言えるだろう。

2017/10/05(木)(小吹隆文)

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