2018年10月15日号
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artscapeレビュー

2016年06月15日号のレビュー/プレビュー

潑墨山水譚─気韻性道 内海信彦絵画表現研究室 腿テント

会期:2016/05/16~2016/05/21

ギャラリイK[東京都]

エレベータを下りるとすぐギャラリーなのだが、幕が張られて内部が見えず、白塗りの女が出てきて誘導してくれる。なかに入ると、壁も天井も幕が張られ、左手前に鉄釜を銅鑼代わりに鳴らす女、奥に白衣の女がふたり、手前に黒衣の男女不明がひとりうつぶせになり、全体を囲うように前衛書みたいな墨絵を描いた屏風が立っている。時間は2分半と告げられたので演劇仕立てらしい。奥のふたりの女がなにやらやりとりし、手前の黒衣が起き上がって(男だった)セリフをいうのだが、覚えているのは最後の「やっと見つかった。なにが? 永遠が」というだれもが知ってるセリフだけ。なんだかよくわからないアナクロ・アングラ芝居。

2016/05/20(金)(村田真)

迎賓館・赤坂離宮

[東京都]

竣工:1909年

取材で迎賓館・赤坂離宮を3時間かけて見学する。片山東熊にとって、まだデザインを悩んでいたであろう奈良や京都の国立博物館に比べると、やり切った感が強い。なるほど大枠ではネオ・バロックの様式だが、細部の重合や変形はきわめてマニエリスティックな操作のように思える。さらに当時流行したゼツェッション的な部分も見受けられるのは興味深い。今回の見学では、1960年代の昭和の改修のときに、村野藤吾によるモダンな介入が室内外ともに重要だったこともよくわかった。

写真:左=上から、《赤坂離宮》外観、中央階段、玄関ホール 右=上から2つ、外観、村野藤吾が手掛けた絨毯

2016/05/20(金)(五十嵐太郎)

山﨑健太郎 展「今、建築にできること。」

会期:2016/05/13~2016/06/24

プリズミックギャラリー[東京都]

傾斜地を活かした、遊戯的で楽しい段状の内部空間をもつ「はくすい保育園」ほか、高齢者、認知症患者、こどもの施設のプロジェクトが展示されており、ビルディングタイプに特性が認められる。

2016/05/20(金)(五十嵐太郎)

みんなの建築ミニチュア展

会期:2016/05/20~2016/06/10

オリエ アート・ギャラリー[東京都]

筆者がプロデュースしたオリエ アート・ギャラリーの「みんなの建築ミニチュア」展にて、オープニング・レクチャーを行なう。登壇者は、斎藤公男、橋爪紳也、磯達雄、遠藤秀平。1時間弱で終わると思いきや、語り出すと、それぞれにミニチュアを集めた想いや志向性がさまざまで、いくらでもネタは尽きない、面白自慢話大会となった。最終的に展示品の総数は約450となった。この展覧会、秋には大阪に凱旋する予定だが、数のうえでもテーマにおいても、まだまだ発展できそうである。なお、東北大学の五十嵐研で制作した、ほとんどの出品作の写真や出品者による解説を掲載した12ページのタブロイド紙も、期間中、会場で無料配布される。

2016/05/20(金)(五十嵐太郎)

麗しき故郷「台湾」に捧ぐ 立石鐵臣展

会期:2016/05/21~2016/07/03

府中市美術館[東京都]

立石鐵臣という名を聞いてタイガー立石(立石太河亞)の親族だと勘違いしたのは、単に名字が同じだったからだ(臣と亞も似てるでしょ?)。略年譜を見ると、鐵臣の長男は偶然にもタイガーと同年の1941生まれ。でも親子ではなさそうだ。ま、それはともかく、立石鐵臣は台湾に生まれ、日本で日本画を学んだあと、岸田劉生や梅原龍三郎に師事。第2次大戦までは日台を往復しながら絵を描いていたが、戦後は日本で国画会を中心に発表してきた。といってもいわゆる団体展系の絵とは違って、日本画、梅原、細密画、シュルレアリスムといった相反する要素が作品ごとに割合を変えながら出現するという不可解な画風なのだ。例えば今回日本初公開になる《台湾画冊》は、戦前の台湾の風俗を墨で絵日記風に描いたもので、絵と言葉による的確な描写は歴史的資料としても貴重なものだろう。その一方で、植物や昆虫の図鑑のために描いた細密画は、もはや図版用の原画の域を超えて超絶技巧が一人歩きしている(そういえば彼は初期の美学校で細密画工房をやっていて、それで名前を見たことがあるのだ)。さらに晩年にはこれらのスキルを総動員して、《月に献ず》《春》《身辺 秋から冬へ》みたいなシュールな細密画を試みたかと思えば、最晩年には《焼岳(昼)》のように梅原流の表現主義的な風景画に戻ったりもしている。この、どこに着地するかわからない振れ幅の大きさこそ、いまどきのアーティストに欠けているものではないか。

2016/05/21(土)(村田真)

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