artscapeレビュー
D&AD賞2012展
2012年12月01日号
会期:2012/10/18~2012/11/18
アド・ミュージアム東京[東京都]
1962年に創設され、今年50周年を迎えたイギリスのデザイナー、クリエーターの団体D&ADが主催する国際的なクリエイティブ賞であるD&AD賞の日本での展示会。日本からは、本田技研工業の交通情報サービス「インターナビ」による東日本大震災での「通行実績情報マップ」と、同じくインターナビを利用した双方向コミュニケーションをビジュアライズするプロジェクト「dots」、NHK教育テレビ「2355」、大黒大悟氏の作品「人体百図」がイエロー・ペンシルを受賞している。最高賞であるブラック・ペンシルは、コロンビア防衛省がゲリラに投降をうながすために行なったプロジェクト「Rivers of Light」。クリスマスの時期、LEDライトが入った透明なカプセルに、ゲリラの家族からの手紙、クリスマス・メッセージなどを封入し、ゲリラ基地近くの川に浮かべる。集まったメッセージの数は6,823通にのぼり、メッセージを手にした多くのゲリラが基地を離れて家族と再会したという。「『ターゲットに望ましい行動を起こさせる』というダイレクトメール本来の目的を見事に達成しており、これほど優れたDMは目にしたことがないと称賛した」との審査員評であった。「メッセージを届けること」が評価されたとはいえ、軍事作戦の一環であるプロジェクトに権威あるデザイン賞がコミットしているという点がとても興味深い。[新川徳彦]
2012/11/07(水)(SYNK)