artscapeレビュー
深い闇の奥底 フランソワ・ビュルラン展
2012年12月01日号
会期:2012/10/26~2012/11/18
ギャルリー宮脇[京都府]
薄茶色の包装紙をつなぎ合わせた画面には、創造主を思わせる牙とあごひげの人物(時には数名)と、魚、鳥、獣、有翼の天使(?)などが描かれ、同心円が余白を埋めている。また、牙とあごひげの人物から吐き出された白い線が、まるでエクトプラズムのように画面上を漂っていた。一見して思い出されるのは、ラスコーやアルタミラなど先史時代の洞窟壁画だ。無限の闇に引きずり込まれるような恐怖感と生命への賛美がないまぜになった、一言では言い表わしにくい感情が身を包んでいく。呪術的な魅力を備えた作品であることは間違いない。私はこの作家を本展で初めて知った。海外作家なので滅多に見ることはできなさそうだが、今後も機会があれば必ずチェックしておきたい。
2012/10/30(火)(小吹隆文)