2020年10月15日号
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artscapeレビュー

東京綜合写真専門学校学生自主企画卒業展 カミングアパート

2009年03月15日号

会期:2009/02/17~2009/02/22

横浜市民ギャラリーあざみ野[神奈川県]

2~3月は「卒展」のシーズン。各大学の写真学科、写真専門学校の卒業生たちが、都内や近県の会場で展覧会を開催する。ほとんどは総花的に卒業制作を展示するだけなのだが、最近は出品者を絞り込んで選抜展にしたり、テーマを設定したりする動きも出てきた。その中でも、この東京綜合写真専門学校の「カミングアパート」展は、「学生自主企画卒業展」ということで異彩を放っていた。
東京綜合写真専門学校がこの形の「卒展」を開催するようになったのは4年ほど前からで、普通の選抜展は六本木・ミッドタウンの富士フィルムフォトサロンで開催し、横浜市民ギャラリーあざみ野のかなり広いスペースを学生有志に開放している。今回は昼間部、夜間部合わせて40名の卒業生が「自主企画卒業展」の方に参加した(両方に出品している学生もいる)。その棲み分けは、今のところうまくいっているようだが、どう見てもあざみ野の展示の方に活気があるように感じられる。
今回特に目立ったのは、写真以外の展示。イラストレーション(阿部萌夢、大川[寳田]苗、長田水記、清水玄)、インスタレーション(若木里美、chaka[波多野康介、嘉義拓馬])、映像(上田朋衛、遠藤優貴、大町碧)などの作品は、発想が豊かで質も高い。写真学校の学生なのにそれでいいのかという話になりそうだが、もはや写真専門学校だから写真だけをやっていればいい時代ではないのだろう。ただしこれはむろん諸刃の剣。むしろ職人的な高度な専門性が、閉塞感を打ち破り、道を切り拓くという可能性も充分に考えられるからだ。正統派の写真作品として面白かったのは大塚広幸「DROPPED IN IRON HEAD」、桑代のぞみ「あいまい」、竹下修平「怠惰なプール」といったところか。

2009/02/20(金)(飯沢耕太郎)

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