artscapeレビュー

「さて、大山崎」山口晃 展

2009年03月15日号

会期:2008.12.11~2009.3.8

アサヒビール大山崎山荘美術館[京都府]

のぞみで京都に出て、在来線で山崎へ。地理的にも歴史的にもネタに事欠かない大山崎に取材した山口の個展。《惟任日向守》《羽柴筑前》《千宗易》はそれぞれ地元ゆかりの明智光秀、豊臣秀吉、千利休の肖像画。秀吉の兜は栓抜きか。大作《最後の晩餐》では明智光秀ら武人が食卓を囲む。よく見ると、ワインやキッコーマン醤油も並んでる。いやアッパレ、あきれるほど見事。なにも考えずに見れば、桃山の重要美術品といわれてもうなずいてしまいそう。ビミョーなのは新館の「壁面見立」シリーズ。コンクリート打放しの壁の模様に「大鰐」「香炉峰」「沢蟹」などのパターンを見出し、スポットライトを当てて作品としている。さすがに新館まで新作で埋めきれなかった苦肉の策かと同情しかけたが、待てよ、これこそ大山崎ならではのサイト・スペシフィック絵画ではないか。先客のモネや安藤忠雄ともコラボしてるし。と感じ入ったしだい。

2009/02/05(木)(村田真)

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