artscapeレビュー
全光榮 展
2009年03月15日号
会期:2009.2.14~2009.3.15
森アーツセンターギャラリー[東京都]
磯の岩肌みたいにゴツゴツとして、ところどころ穴のあいた作品──最近、海外のアート雑誌の広告でも見かける全光榮(チョン・クァンヨン)の作品だ。図版で見る限り「ウソっぽいなあ」と感じていたが、森美術館の下のギャラリーでやってたので実際にどんなものか見に行った。ゴツゴツした感触は、大きさの異なる三角形のポリスチレンフォームを韓紙で包み、木枠にはめ込んでレリーフ状にしているから。穴があいてるように見えるのは、その部分だけ染料で染めて陰影をつけているから。テマヒマはかかっているけど、早い話、伝統的な素材を売りものにした「だまし絵」にすぎない。立体もあって、パッと見、戸谷成雄の彫刻を思わせるものの、よく見るとハリボテ感がありあり……。なぜこんな作品が階数もショバ代も超高いギャラリーで展示され、おまけに南條史生森美術館館長の序文入りの売れそうもない豪華なカタログまでつくられるのか、事情に疎いぼくには理解できないのであった。
2009/02/21(土)(村田真)