artscapeレビュー

松本秋則展──タイオン演奏会

2009年03月15日号

会期:2009.1.27~2009.2.5

ストライプハウスギャラリー[東京都]

タイオンとはギリシア神話に登場する風の神で、通りすぎるときシャラシャラと音をたてる……というのはウソで、体温のこと。天井から例によってアナログなサウンドオブジェが吊り下がっているのだが、今回は風でも電気でもなく、その下に立った人の体熱で起きるわずかな上昇気流で装置を回転させ、音を出すという。実際に立ってみたら、数秒後に装置がゆっくりと回転を始めた。ぼくはほかの人よりよくまわるみたい。別に体温が高いのではなく、新陳代謝が激しいのだそうだ。そのまわり方や音でその人の体調がわかったりしたらスゴイというか、まったく別の装置になってしまうわね。ともあれそんな期待というか心配というかをかけさせるほど、松本氏は境界線を突っ走っている。

2009/02/04(水)(村田真)

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