artscapeレビュー
コレド・ウィメンズ・アート・スタイル
2009年03月15日号
会期:2009.2.16~2009.3.8
コレド日本橋[東京都]
商業空間のなかでアートを見る楽しさと見せる難しさを同時に感じさせる展覧会。出品は若手女性アーティスト8人。金子奈央は油絵をそのまま展示しても埋没してしまうと考えたのか、それともキュレーター上田雄三の入れ知恵か、自作を巨大な布にプリントして吹き抜け空間に吊るした。これはよくめだつが、かえって広告のように見えてしまい埋没しかねない。もうひとり油絵の福島沙由美は、自作をショーウィンドーのなかに閉じ込めた。これならオリジナルを見てもらえるが、はたしてどこまでじっくり鑑賞してもらえるか。同様のことはほかの立体のアーティストにもいえる。こうしたオープンな場所で見せる場合、美術館やギャラリーとは違って安全性や通行人の反応も考えなければならい。その結果、作品のもっていた魔性や攻撃性がそがれたり、ショーケースに押し込まれて商品みたいにディスプレイされかねない。そんな危険性から唯一免れていた(かもしれない)のが奥村昂子のインスタレーションだ。中空に吊るされた白い糸のかたまりは幻の城のイメージだが、このような空間でゆらゆら揺れるさまは正直いってみすぼらしい。まるで幽霊かクモの巣みたいな……と連想してハタと気づく。そうか、実はこの作品、きれいに制御された商業ビルへの痛烈なアイロニーかもしれないぞ。本人がどこまで意図したか知らないが。
2009/02/16(月)(村田真)