2019年11月15日号
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artscapeレビュー

川北ゆう「今日までを想う」

2009年03月15日号

会期:2009.1.31~2009.3.1

studio90[京都府]

午前中の明倫茶会ですっかり高揚した気分のまま電車に乗り、川北ゆうが公開展示をしている南区の会場へ。駅から歩いて30分。公園のそばにある川北の友人のアトリエの1スペースが展示空間になっていた。川北は水や微風の動き、色、それらの感触といった微妙な現象を2次元で表現しようとする。水を使った制作で、染料や塗料が流れ動いた跡が美しい作品だ。今回は、準備と制作、展示まで、支持体のパネルを動かさずに一貫して同じ場所で行なったという。展示空間はホワイトキューブではなく黒いカーテンをつけ、壁も真っ黒に塗装した部屋で、中央にひとつだけライトが取り付けられている。床から数センチの台の上に置いた大きな平面作品が1点。ゆっくりと作品の周りを歩き回ったり、しゃがんだりしながら見る。油絵の具を使用した今展では、川の流れや川の深い色をイメージしながら制作したという。見る角度や位置によって、イメージや色の表情がころころと変転していくようで見飽きない。「いつもは平面をつくってると言ってるけど、これを見てたら平面をつくるっていうのとも違う気がしてきた」と話してくれた。壁面ではなく、床に視線を向けることになるが、それは川北が表現したい世界として今まで以上に成功していたと思うし、今後の表現の展開の可能性を広げることになったようだ。遠かったけれど、見ることができてよかった! 明倫茶会といい、川北の新作展といい、この日は素敵なことばかりで大満足。

2009/02/28(土)(酒井千穂)

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