artscapeレビュー
2011年12月01日号のレビュー/プレビュー
exhibition as media 2011 梅田哲也 展「大きなことを小さくみせる」
会期:2011/11/12~2011/12/04
神戸アートビレッジセンター[兵庫県]
大阪市内の築60年のアパートで個展を開催中の梅田が、神戸のアートセンターでも個展を同時開催。大阪展とは全く異なる環境でどのような展示を行うかに興味が募ったが、場の特性を生かすという意味において2展は同一線上に並ぶものだった。ただ、地下のシアター(ここだけ有料)で披露された作品だけは例外で、時間性と物語性を月良く感じられ、一種の無人演劇もしくはオブジェ演劇とでも呼ぶべき新境地に達していた。この方向性が今後どのように発展していくのか、非常に興味をそそられる。
2011/11/27(日)(小吹隆文)
プレビュー:岡田利規『三月の5日間』、ままごと『あゆみ』
今月は、演劇二本。一本目は、2005年に岸田國士戯曲賞を受賞した岡田利規の最初の代表作『三月の5日間』(2011年12月9日~11日@熊本・早川倉庫、2011年12月16日~23日@横浜・KAAT神奈川芸術劇場)を挙げないわけにはいかないでしょう。00年代以降の日本演劇のオリジナルな展開はここから始まったといっても過言ではありません。デモのシーンはいまのぼくたちにどんな印象を抱かせるのだろうとか、いまよりもずっと元気のあった「若者の街」渋谷をいまどんな気分で見ることになるのだろうとか、いろいろな期待で胸膨らませて行きたいものです。とくに、未見の若い演劇ファンはお見逃しなく。
もう一本は、こちらも、昨年岸田戯曲賞を受賞者したままごと(柴幸男)による『あゆみ』の再演です(2011年12月1日~4日@東京・森下スタジオ、2011年12月7日~9日@横浜赤レンガ倉庫)。日常の一コマを切りとって何度も繰り返す手法は、いまやいくつかの劇団で応用されているものですが、今作では1人の女性の暮らしを複数の役者たちが演じるアイディアに注目。とても知的な構成法をとりながら、理屈っぽさがなく、一瞬のうちに演劇空間に観客を引き込む、そんな柴の手腕が今作でも堪能できることでしょう。
2011/11/30(水)(木村覚)