artscapeレビュー
2017年05月15日号のレビュー/プレビュー
7つのトランスフォニー
会期:2017/04/22~2017/07/09
トーキョーワンダーサイト渋谷[東京都]
2015-16年にTWSレジデンスに滞在した海外のアーティスト7人による作品の発表。さまざまな人に、世界が意味をなさないと感じたときに口ずさむメロディをハミングしてもらい、それらを集めて音楽家にひとつの曲をつくってもらったミルナ・バーミアのビデオ・サウンドインスタレーション、東京の町を歩いているうちに疎外感を覚え、料亭のような和室でシャツを切り裂きボロボロにするエリック・シュミットの映像、テヘラン現代美術館に設置された《物質と精神(オイル・プール)》と題する作品への関心から、作者の原口典之をたずねていくシリン・サバヒの映像など。お手軽なのか、とにかく映像が多くて見ていてツライ。それぞれのテーマは悪くないと思うけど、視覚芸術なんだからもっと楽しませてくれよ。もっと網膜の奥まで刺激を与えてくれよ。
2017/04/30(日)(村田真)
カタログ&ブックス|2017年5月
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
いかに戦争は描かれたか
本書は、2015年にBankARTスクールで開かれた連続講座「戦争と美術」の講義内容をまとめたものです。「戦争画とはなにか」にはじまり、藤田嗣治の戦争画、明治以降の日本における戦争表象の変遷、モニュメントやスペクタクルの視点から見た戦争など、第2次大戦の戦争画に限らず多角的に「戦争の表象」に迫ります。
ムンタダス アジアン・プロトコル ラウンドテーブル記録集
3331 Arts Chiyodaではスペイン人アーティスト、アントニ・ムンタダスをアーティスト・イン・レジデンス・プログラムに招聘し、その成果として日本における20年ぶりの個展「Muntadas展 Asian Protocols」を2016年3月に開催しました。本書は関連プログラム「ラウンドテーブル」全3回の記録集。日本・中国・韓国をめぐる3つのテーマについて多彩な識者たちが斬新な視点を提供します。
YCAM YEARBOOK 2017-18
本書は、YCAMの多岐に渡る活動をご紹介するとともに、YCAMがある山口県の観光地・宿泊・飲食店の情報をご案内するものです。
巻頭には女優・橋本愛さんと行くYCAMガイドが掲載されているほか、ゲストとYCAMのスタッフとの対談、専門家による2016年度事業のレポートなど盛りだくさんの128ページです。
科学者の網膜 身体をめぐる映像技術論
19世紀末から20世紀初頭のフランスで、名もなき人々の身体を測定するために写真を中心とする映像技術を駆使した5人の科学者たち。彼らの荒唐無稽にも見える映像実践から、多様な映像環境に組み込まれた私たちの感性の変容をも照らし出す視覚文化論の成果。
無くならない──アートとデザインの間
人気アートディレクター・佐藤直樹が語る、これからの芸術!?
佐藤さんはコンピュータを使ったデザインの黎明期に、『WIRED』日本版などを手掛け、20年以上一線で活躍してきた。しかし、ある日突然、木炭画を描き始めた。絵を描くのが止まらなくて、その絵はなんと100メートルに! デザインするのをやめてしまうの? というわけではなさそうだけれど、いったん立ち止まって、アートやデザインについて考えてみました。
加藤アキラ[孤高のブリコルール]
加藤アキラは、1960年代に前橋を舞台に活動した「群馬NOMOグループ」のアーティストとして活躍しました。加藤は、身の回りで廃棄されていく日用品や自然の素材を寄せ集め、それらに僅かな細工を施す[ブリコラージュ]によって作品へと昇華させます。リノベーションやオーバーホールなどかつての物を再生させ、新たな価値観を付与することが求められる時代、日常に埋もれて行く産業製品などに息吹を与える加藤の作品は、多くの示唆に富んでいます。
2017年3月、群馬を代表する現代美術家のひとりとして加藤アキラの活動を総覧する初の展覧会が開かれ、本書はその展覧会図録として制作されました。
2017/05/12(金)(artscape編集部)