佐藤志保、畠山雄豪、人見将の写真展「念力、滲透、輪郭」:artscapeレビュー|美術館・アート情報 artscape

2018年08月01日号
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佐藤志保、畠山雄豪、人見将の写真展「念力、滲透、輪郭」

2012年07月15日号

会期:2012/06/13~2012/06/24

リコーフォトギャラリー RING CUBE[東京都]

昨年7月に東川町国際写真フェスティバルの関連行事として開催されたリコーポートフォリオオーディション。鷹野隆大と一緒に僕も審査に参加したのだが、そのレベルの高さにびっくりさせられた。ポートフォリオを制作し、自分の作品をプレゼンテーションするということが、写真家たちの間にごく当たり前のルーティンとして定着しつつあるということだろう。そのときは北海道札幌在住の山本顕史がグランプリに選ばれ、昨年11~12月に東京・銀座のリコーフォトギャラリーRING CUBEで個展「ユキオト」が開催された。だが次点に残った佐藤志保、畠山雄豪、人見将の作品も甲乙つけがたく、あまりにも惜しいということで、今回その3人で「念力、滲透、輪郭」と題する展示を開催することになった。
佐藤志保の「念力」はダウジング、テレポーテーション、透視、幽体離脱などの超常現象をテーマにした作品。それぞれの状況をモデルに演じてもらい、とても気のきいたテキストを付して作品化している。4×5インチの大判カメラで撮影したプリントのクオリティが高く、脱力感のあるユーモアが独特の味わいを醸し出していた。畠山雄豪の「滲透」は、川の中に顔を覗かせる石を真上から撮影し、水と鉱物との「滲透」の状況を細やかに浮かび上がらせる。作品を床に並べて、その間を観客が縫うように歩き回れるように設定したインスタレーションがなかなかよかった。人見将の「輪郭」は、人体の影を定着したフォトグラム作品。さまざまなポーズをとるシルエットに、コラージュやドローイングで装飾的な要素を付け加え、軽やかな遊び心を発揮する作品に仕上げている。
3人とも、今後の活躍が大いに期待できる。オープニングの会場で、畠山から来年秋に山本顕史も含めた4人展を開催したいという抱負が述べられた。偶然の機会で出会った4人だが、おのおのの力が融合し、化学反応を起こすとさらに面白くなるのではないだろうか。

2012/06/13(水)(飯沢耕太郎)

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