artscapeレビュー

現代美術実験展示『パースペクティヴ(1)』

2017年02月15日号

会期:2017/01/24~2017/03/26

JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク[東京都]

どこでやってるのかわからず、スタッフに聞いてようやく判明したほど片隅でひっそりと行なわれていた。やっぱり「現代美術」の「実験展示」はこうでなくちゃね。100年前に建設された赤門倉庫から移設した重厚な鉄製キャビネット内で、藤原彩人、高木大地、今井紫緒、今井俊介、冨井大裕、今津景、菊池敏正という7人のアーティストに作品を発表してもらう試み。藤原は天地逆にした首像の陶器で、首に花を差せるようになっている。今津はキャビネットに合わせた縦長の画面に、モアやドードーなど絶滅した鳥類を丁寧に描き、古代エジプトの半獣神を線描し、さらにたっぷりの絵具をストロークで載せるというトリプルイメージ。冨井は赤と黄色の細長い水準器を2台ずつT字型に組んで垂直に立てている。それぞれインターメディアテクのコレクションからインスピレーションを得たとおぼしき作品。古いキャビネットも悪くないけど、この広い展示室の厖大なコレクションのなかに現代美術を紛れさせるのも一興かも。

2017/01/25(水)(村田真)

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