2018年10月15日号
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artscapeレビュー

第65回東京藝術大学 卒業・修了作品展

2017年02月15日号

会期:2017/01/26~2017/01/31

東京都美術館+東京藝術大学大学美術館+大学構内[東京都]

ヒマだったもんで見に行った。見る側のモチベーションが低かったせいか、ロクな作品に出会わない。まず都美の先端芸術表現科。全学科とも原則的に都美が学部の卒展で、芸大会場は修了展と分かれている。先端はメディアが多彩なだけに、思考がこなれてない作品は学芸会の出し物みたいに稚拙さが目立ってしまう。ビデや温水洗浄機、洗濯機などの家電の効果をpH反応液やメタモカラー、感圧紙などを使って紙に可視化した石橋遙の作品は、見た目は地味だが、改良の余地はたくさんあるけれど、やりたいことは明解だ。油画はいつになく低調な印象。楊博のペインティング《Hey, Mr. Iggy Pop》は描かれた内容もさることながら、天井に届きそうなリッパな正方形の木枠にキャンバス布を張った支持体に注目。彫刻科は、ほかの科より流行の傾向がわかりやすい。ネコ、シカ、ライオンといった動物彫刻、小型のフィギュア彫刻が最近の傾向か。おもしろいのは、人体かなにかを布で覆ったような梱包彫刻。実際に布で覆うのではなく、覆ったように木や石を彫るのだ。これはひょっとして受験時のデッサンの名残か? 藝大の美術館は佐々木敬介の《フアク》1点に尽きる。日本画の修士だが、キャンバスにスプレーで中指を突き立てた絵をグラフィティ調に描いている。フアク……感動した。勝手に村田真賞だ。絵画棟は不作で、箱の上面や本棚の前面に布を張ってペインティングした三瓶玲奈と、藝大美術館の屋上や隙間に展示スペースを増設するプランを提出した佐藤熊弥が目を引いたくらい。ああ疲れた。

2017/01/27(金)(村田真)

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