2018年07月15日号
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artscapeレビュー

リボーンアート・フェスティバル2017 その1(石巻)

2017年09月15日号

会期:2017/07/22~2017/09/10

宮城県石巻市ほか[宮城県]

リボーンアート・フェスティバル2017の各会場を案内してもらう。正直、仙台でも事前にまったく情報がでまわらず(実際ガイドブックの発売がオープンに間に合わず、ホームページもかなり情報不足)、どうなのか? と思っていたが、「地域アート」的な作品が要請される普通の芸術祭とはだいぶ違うことがよくわかった。効率的にクルマでまわったが、それでも1日で全部を見るのは不可能である。2日は必要な規模だった。まず石巻2.0の向かいで、リボーンの情報センターになっている旧観慶丸商店で初めて地図をゲットする。百貨店だった内部をゼンカイハウス的にリノベーションし、ギャラリー仕様になっていた。ぽつんととり残された旧階段はオブジェのように見える。また一般公開されていない3階のインテリアが面白い。ここにシュタイナーと名和晃平、コンタクト・ゴンゾ、宮永愛子、ナム・ジュン・パイクらのワタリウム的なセレクションを展示し、全体へのイントロダクション的な場となっていた。続いて被災した南浜を見下ろす、日和山公園の神社では、フジワラボがレストランの内部を改造し、JRのインサイドアウト・プロジェクトのためのカメラ空間を設置する。なお、リボーンでは、藤原徹平事務所が基本的に各会場のデザインを担当した。旧石巻港湾病院では、小林武史×WOWによる鏡の間でふわふわバルーンが浮かぶアトラクション的なインスタレーションを展示する。ここが興味深いのは、全体をリボーンアートハウスに改造し、スタッフ、ボランティア、アーティストの宿泊所として活用されていること。シェフも置き、おいしい料理やゲリラ・ライブも楽しむらしい。そして巨大な冷凍庫をスケートパーク化していたワンパークでは、サイドコアによるストリートカルチャー的な展示を挿入する。石巻にまだこれだけ大きな被災建築が残っていることも重要だが、安全性ゆえ内部が使えなくなったことを逆手にとった展示や動線計画など、石巻ならではの特異性をあぶりだ出すアート的な介入が鮮やかだった。

写真:左上2枚=旧観慶丸商店 右上2枚=旧石巻港湾病院 下2枚=ワンパーク

2017/07/26(水)(五十嵐太郎)

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