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國府理「未来のいえ」

2013年07月15日号

会期:2013/06/22~2013/07/28

西宮市大谷記念美術館[兵庫県]

西宮市大谷記念美術館で、これまでに発表された國府理の初期作から最新作まで、12点の作品を紹介する展覧会が開催されている。國府がこれまでに制作、発表してきた自動車や船等の乗り物を素材とした作品は現存していないものも多い。そのため、今展にはこの機のために再現された作品もある。展示数は多くはないが、今展は、科学技術の進歩と自然を、対立したものとしてとらえるのではなく、人間の目的意識やその努力による技術的所産がうまれる状況にも目を向け、夢という未来や現実の世界の状況を見つめて制作し続けてきた作家の眼差しがうかがえる展示となっていて見応えがある。7月28日(日)まで開催され、毎週土曜日には、國府自身が会場にて展示作品のメンテナンスや試運転を行なっている。もしその時ならば、國府の思想と作品のイメージを重ねて見ることもでき、一層会場の展示が楽しめるだろう。作品解説には「120%の力を出す」というアスリートの言葉が例にあげられていたが、人間のはかりしれない力とエネルギーをテーマに制作された《Mental Powered Vehicle》(2006)はハンドルに手をかざせばプロペラが回転する車で、とくに実際に作動中のところが見てみたいもの。


屋外展示作品《親子の庭》(2013)


Mental Powered Vehicle

2013/06/25(火)(酒井千穂)

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