artscapeレビュー

笹井青依「Camellia」

2013年07月15日号

会期:2013/06/04~2013/08/10

アンドーギャラリー[東京都]

案内状の絵を見て、以前「五美大展」で見た作品を思い出した。プリミティヴな木の絵なんだけど、葉っぱがカツラのように描かれてるのと、色彩が美しい中間色だったのでよく覚えている。今回もその延長線上の作品で、50号と150号が4点ずつ、ドローイング3点の展示。背景はいずれもグレーだが、斜め方向に濃淡をつけてるので風が吹いてるように感じる。幹と枝はベージュ、葉っぱは緑灰色で、これが木の葉というより髪の毛みたいに見え、ユーモラスかつ不気味でもある。モチーフは木だけで(なぜか2本か4本)、色彩は2、3色のみというシンプルさ。にもかかわらず不思議と惹きつける絵だ。作者がどれだけの力量をもっているのか、ほかの絵を見てみたい気もするが、まだしばらくこれでやってもらいたい気もする。おのずと変わっていくかもしれないし。

2013/06/07(金)(村田真)

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