artscapeレビュー

小山利枝子 展

2013年07月15日号

会期:2013/06/25~2013/07/07

アートコンプレックス・センター[東京都]

住宅地に建つこのスペースには以前、夜のパフォーマンス公演を見に来たことはあるけど、昼間来るのは初めて。ずいぶん奇抜な外観だ。内部も奥が深い。その地下全室を使っての個展。150号を3点つないだ大画面3点を中心に、100号以上の大作が並ぶさまは壮観。奥には花を描いた水彩などの小品もある。小山は花の絵から徐々にかたちを崩して流動化させ、色彩とストロークを強調した抽象画に近づいていたが、今回、中央に鎮座する幅5メートル近い大作には、ぼやけているとはいえ明らかに花とわかる形象が描かれている。しかもそれがほかならぬ蓮の花である点に、なにか作者の心境の変化を感じずにはいられない。もちろん大震災と原発事故が響いていることは間違いないだろうけど、これが過去への揺り戻しなのか、それとも新たな方向性を示しているのか。

2013/06/28(金)(村田真)

2013年07月15日号の
artscapeレビュー