artscapeレビュー
石原友明「アウラとエクトプラズム」
2013年07月15日号
会期:2013/06/22~2013/07/28
MEM[東京都]
1980年代後半~90年代にかけて、森村泰昌、やなぎみわ、小山穂太郎、佐藤時啓など、美術系の大学の在校生、卒業生たちが写真作品を発表し始めた。彼らの作品は発想においても手法においても、また展示(インスタレーション)のあり方も、従来の「写真家」のそれとはまったく異なっており、大きなインパクトを与えるものだった。そのなかで、石原友明の印画紙に焼き付けたセルフポートレートに原色でドローイングした作品も、鮮やかに記憶に刻みつけられている。石原は1990年代から2000年代初めにかけても、精力的に作品を発表し続ける。だが、その後は京都市立芸術大学で教育の現場に携わっていたこともあって、作家活動はほぼ休止状態になっていた。今回のMEMでの展示は、ほぼ10年ぶりの個展になるのだという。
「アウラとエクトプラズム」と名づけられた今回の個展でも、身体の「かたち」にこだわり続ける姿勢は一貫している。「自分の持っている『かたち』を眼で触り、捏ねながら、拡大、延長、投影、反転、切断して、再度『かたちづく』ってゆく」その作業の過程において、最大限に活用されているのが、写真による「セルフポートレート」であることにも変わりはない。今回の展示には、革袋を連ねたようなフォルムの自作のオブジェを、裸になって抱えたりくわえたりしている写真作品が出品されていた。それを見ると、いまは50歳代の石原の身体は、明らかに小太りの中年男性の体型になっている。それでもなお、体を張って作品制作を続ける彼の姿勢に感動を覚えた。
2013/06/26(水)(飯沢耕太郎)