artscapeレビュー
島袋道浩:能登
2014年02月15日号
会期:2013/04/27~2014/03/02
金沢21世紀美術館[石川県]
島袋が能登を旅して作品をつくりるという1年間の長期プロジェクト。能登へ行くきっかけになったくちこ(ナマコの生殖巣を集めて干したもの)づくりを追ったビデオ、くちこづくりのシーズンオフにやってる鉄づくりのプロセスを実物で見せるインスタレーション、能登で拾ってきたさまざまな形態とサイズのタコツボ、音楽家の小杉武久を誘いその場にあるもので即興演奏したときの映像、風よけのために竹でつくった間垣の再現、昔なつかしいフィルムカメラのスーパー8で撮った海で遊ぶ子どもたちの映像、などを見せている。島袋は「ナマコを最初に食べた人、ナマコが食べられると思った人の想像力と勇気にはずっと前から尊敬の気持ちを持っていた……」と述べているが、これは自分のことを語っているのかもしれない。20年近く前に彼がデビューしたとき、これのどこがアートなんだろうと考え込んでしまった覚えがあるが、彼は「ナマコ(またはタコ)を最初にアートにした人、ナマコがアートになると思った人」なのだ。そしてそのとおり、彼はアーティストとしてベルリンから金沢に招かれ、タコやナマコをアートにしている。その「想像力と勇気」は尊敬に値する。
2014/01/30(木)(村田真)