artscapeレビュー
3331アラート!
2014年02月15日号
会期:2014/01/25~2014/02/03
3331アーツ千代田[東京都]
3331で毎年開催している「千代田芸術祭」で受賞した11人による作品展。人体や自分の脳腫瘍のレントゲン写真をドローイングする桃源、布の上に編み目状のパターンを重ねて描いていく渡瀬愼也、20年間の自分を撮った写真をつなぎ合わせて映像にした古跡哲平、みずからの身体の記録と痕跡を死ぬまで作品化し続ける加瀬才子、などの作品に目が止まった。こうして選んでみると、ある共通する傾向が浮かんでくる。というより、ぼくの好みが浮き彫りにされるわけですが、それはモチーフを外に求めず内的欲求に従って再構築し、しかもそれを継続していくことですかね。でもほんとのことをいうと、いちばん心を揺さぶられたのは人形劇で使う絵や道具を出していた森脇ひとみの作品。人形劇はどうでもいいのだが、その絵がじつに屈託なく描かれていて、絵を描くこと、創作することの喜びが伝わってくるのだ。これに比べるとさきほど挙げた作品たちの貧相さが目についてしまう。崇高な貧相だけどね。
2014/01/31(金)(村田真)