artscapeレビュー
野口琢郎 展「箔画」
2014年02月15日号
会期:2013/12/20~2014/01/12
Nii Fine Arts[大阪府]
漆と箔を用いた「箔画」という絵画表現。これは木製パネルに塗り重ねた漆に、金、銀、プラチナ箔で描いたイメージを接着させるという制作法で、京都の西陣で家業の箔屋を継ぐ野口がその技術や大学時代に学んだ絵画、写真表現などの知識を活かして自ら考案した。これまでも野口はその独自の技法を通して画面にさまざまなイメージを試みてきたが、今展で発表した作品では、箔の化学変化によって生まれる微妙な色合いも駆使しながら、いっそう実験的で伸びやかな表現を行なっていた。時間とともに移り変わる光の加減で、微妙に変化する箔の輝きや色彩等の表情もさることながら、自由闊達に表現されたイメージが爽快なほど美しく、彼の熱心な素材研究と表現制作へ気概を如実に示すようで清々しかった。今後の活躍もますます楽しみだ。
2014/01/12(日)(酒井千穂)