artscapeレビュー
いわき平競輪場
2014年02月15日号
[福島県]
公共建築賞の審査で、日本設計によるいわき平けいりんを見学したが、初めて体験するビルディングタイプだった。工期を短縮すべく、プレキャストのコンクリートによって、複雑な曲面を描く走路バンクを建設し、内側からも自転車の競技を間近に見ることができる場を設けている。縦に積んだ直線のメインスタンドから、傾斜した巨大なガラス越しに、街とバンクを見下ろす眺めが素晴らしい。透明感もあり、空港のように明快な空間だ。バンクの内側、バックスタンド、別棟の集会所は、地域の住民にイベントで開放し、明るいイメージをもつ現代的な競輪の施設だ。震災直後も防災の拠点として活躍している。
2014/01/29(水)(五十嵐太郎)