artscapeレビュー
ただいま。カーネーションと現代美術。
2014年10月01日号
会期:2014/09/03~2014/09/10
岸和田市立自泉会館 展示室[大阪府]
岸和田城に隣接する瀟洒な近代建築を舞台に、岸和田市とその周辺の出身または在住作家である、稲垣智子、大﨑のぶゆき、永井英男、西武アキラ、吉村萬壱、ワウドキュメントがグループ展を開催した。稲垣と大崎は映像インスタレーション、永井は彫刻、西武は絵画、吉村は小説家である自分の仕事場を再現したかのようなオブジェ、ワウドキュメントは一軒家を移動させるプロジェクトの記録映像を出品。規模こそ大きくないが、それぞれの持ち味がよく出た気持ちのよい展覧会に仕上がっていた。なお、筆者が訪れた日は、有名なだんじり祭りを前にだんじりの試験引きが行なわれており、街中が早くもヒートアップしていた。美術展と祝祭を一度に味わえ、2倍得した気持ちであった。岸和田といえばだんじり祭りが有名だが、同時に岸和田は歴史のある城下町であり、市内の至る所に古い和洋の建築物が残る文化的な土地柄でもある。そうした岸和田のもうひとつの顔を対外的に認知してもらうためにも、本展のようなイベントは有効だ。地元民と行政がそのことに気付いてくれれば、本展は大成功と言えるのだが……。
2014/09/07(日)(小吹隆文)