2021年10月15日号
次回11月1日更新予定

artscapeレビュー

生誕130年 竹久夢二展──ベル・エポックを生きた夢二とロートレック

2014年10月01日号

会期:2014/08/27~2014/09/08

京都高島屋グランドホール[京都府]

竹久夢二の生誕130年を記念する展覧会。絵画をはじめ、挿絵、口絵、装丁、ポスターおよびそれらの原画や、千代紙や装身具など「港屋」の品々で夢二の人生をたどる。さらに、日仏のベル・エポック開拓者という視点からロートレックと夢二を対比させるという趣向もあり、京友禅の老舗、千總による夢二の画中の衣装の復元もありと、盛りだくさんの充実した展示内容になっている。
それにしても、竹久夢二の衰えぬ人気ぶりには驚かされる。生誕の地、岡山には夢二郷土美術館、滞在したホテルがあった東京・本郷には竹久夢二美術館、たびたび訪れたという伊香保には竹久夢二伊香保記念館、鬼怒川温泉には日光竹久夢二美術館、酒田には竹久夢二美術館と、質や規模、公設私設を問わず夢二の名を冠した美術館が日本中に点在している。たびたび開催される展覧会もつねに観覧者でにぎわっている。わけても今年は記念すべき年、全国四カ所を巡回する本展以外にも、「生誕130年記念 再発見!竹久夢二の世界(竹久夢二美術館)」展や「竹久夢二生誕130年記念 大正ロマンの恋と文(三鷹市美術ギャラリー)」展が同時期に開催されており、小さな夢二ブーム到来といっても過言ではない様相を呈している。
大きな瞳とほっそりしなやかな姿態が印象的な美人画、夢二と絵のモデルとなった実在の女性たちとの艶っぽい関係、「港屋」絵草子店やデザイン事務所・工房「どんたく図案社」(こちらは構想で終わったが)といった多彩な活動、50年間の短い生涯にもかかわらず人々の興味をかき立てるものには困らない。本展でのロートレックとの比較という視点はどうだろうか。ロートレックもまた独特の女性像で知られる画家である。浮世絵に影響を受けたとされる作風にも夢二のそれと相通じるものがある。なによりも、作家自身の存在全体から醸し出される悲しげな哀愁が共通している。つまり、これがベル・エポックの時代感というものであろうか。やはり興味はつきないのである。[平光睦子]

2014/09/08(月)(SYNK)

artscapeレビュー /relation/e_00027894.json l 10103357

2014年10月01日号の
artscapeレビュー

文字の大きさ