2021年09月15日号
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artscapeレビュー

絵本づくりのマイスター3人展 西巻茅子・馬場のぼる・わかやまけん

2014年10月01日号

会期:2014/07/04~2014/09/04

ギャラリーA4[東京都]

西巻茅子の『わたしのワンピース』、馬場のぼるの『11ぴきのねこ』、わかやまけんの『こぐまちゃん』。本展に取り上げられている三つの絵本シリーズにはいくつかの共通点がある。いずれも1960年代から70年代にかけての第一次絵本ブームに誕生し、現在まで売れ続けているロングセラー絵本であること。いずれも作家が書いたお話に絵が添えられているのではなく、絵も物語もオリジナルな絵本としてつくられていること。そしていずれのシリーズも「こぐま社」から出版されていること。つまり、これらのこの絵本づくりの中心には、1966年にこぐま社を創設した編集者・佐藤英和氏がいる。タイトルには明示されていないが、この展覧会は絵本のつくり手を見出し、名作を生み出していった佐藤英和氏の仕事を紹介する企画であるといってよい。馬場のぼるの『11ぴきのねこ』の誕生に果たした佐藤氏の役割については以前に調べたことがあったが、「こぐまちゃん」シリーズが4人の人物──デザイナー・若山憲、劇作家・和田義臣、歌人・森比佐志、編集・佐藤英和──による「集団制作」であることは今回初めて知った。絵本づくりに編集者がはたしてきた役割はとても大きいにもかかわらず、絵本の展覧会は子ども(と、その親)向けの企画が多く、作家やその創作活動、原画の展示が中心になってしまい、編集者にまでスポットライトが当てられることは稀である。夏休み中に開催されたこの展覧会は子どもが楽しめる構成になっていながらも、編集者と画家・作家の絵本づくりにかけた情熱をも伝える優れた企画であった。[新川徳彦]

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