artscapeレビュー
暮沢剛巳『世界のデザイン・ミュージアム』
2014年10月01日号
発行所:大和書房
発行日:2014年05月15日
発行所:大和書房
発行日:2014年05月15日
価格:2,200円(税別)
サイズ:四六判、224頁
著者が赴いた9カ国(イギリス、フランス、スイス、ドイツ、オーストリア、チェコ、デンマーク、フィンランド、アメリカ)25館のデザイン・ミュージアムを紹介する本。題名にある「世界の」というよりは「西欧」のそれを扱ったというほうが正確だろう。南欧からは選ばれずに、ドイツから9館というように選定にやや偏りがあるものの、規模を問わずさまざまなタイプのデザイン・ミュージアムを紹介すべく配慮されている。例えばドイツ語圏を見ると、19世紀英国の産業製品の博物館から発展したサウス・ケンジントン博物館(現在のヴィクトリア&アルバート美術館)を手本とした「オーストリア応用美術博物館」から、企業博物館の「メルセデス=ベンツ・ミュージアム」、ワイマール時代のバウハウスのコレクションを集めた「バウハウス美術館」、磁器の製造過程も見学できる「マイセン磁器博物館」というように、多彩なラインアップとなっている。ミュージアムへの行き方、設立の歴史、展示空間、美術館建築などに触れられているから、これから外国の美術館を訪問する人にはガイドブックとしても役に立ちそうだ。日本にはまだない、国公立のデザイン・ミュージアムに対する今日的な関心から執筆されていることにも注目したい。[竹内有子]
2014/09/12(金)(SYNK)