artscapeレビュー
So French Michel Bouvet Posters
2014年10月01日号
会期:2014/09/03~2014/09/27
ギンザ・グラフィック・ギャラリー[東京都]
フランスのポスターアーティスト、ミシェル・ブーヴェ(Michel Bouvet, 1955-)の作品展。ブーヴェがおもに手がけているのは、演劇や音楽、美術、フェスティバルなど、公的機関の文化イベント。ジュール・シェレ(Jules Chéret, 1836-1932)、カッサンドル(A. M. Cassandre, 1901-1968)、サヴィニャック(Raymond Savignac, 1907-2002)ら偉大なポスター作家の系譜に連なり、イメージの大胆な構成を特徴とする。近年の作品は、たとえばアルル国際写真フェスティバルのカラー・ポスターの場合は、写真展にもかかわらずモチーフは太い筆で描かれた戯画的な動物。これにシルクスクリーンでヴィヴィッドな色彩を乗せている。モノクロームの演劇ポスターには写真によるイメージが用いられている。とはいえ、写っているのは役者や装置ではない。ドライバーの先端であったり、太い骨を組み合わせた十字架であったり、鉈であったり、内容を暗喩するオブジェとテキストが大胆に用いられている。象徴的なオブジェ。手書きのユーモラスな動物たち。人々の目を捉えるインパクトを持ち、一瞬でイメージを伝達し、関心を抱いた人にはさらに詳細な情報を送り出す。機能的かつ美的であり、街の風景をもつくりだすメディアとしての優れた仕事である。[新川徳彦]
2014/09/25(木)(SYNK)