artscapeレビュー

佐々木友恵展「変わりゆく残像」

2015年04月01日号

会期:2015/03/03~2015/03/15

同時代ギャラリー[京都府]

漆を用いた平面表現で知られる佐々木友恵の新作展。「残像」をテーマにしており、彼女自身の幼少期の記憶をモチーフにした作品が並んでいる。佐々木は、それぞれ異なる宗教信仰を持つ両親に育てられ、家族、宗教、近所の風景など、5歳まで住んでいた埼玉県での記憶が今も鮮明に残っているという。それらは彼女の人生に大きな影響を与える一方、時の経過とともに薄れ、変質した部分もあるだろう。作品には、そうした記憶の情景が描かれているのだが、あくまでも断片的であり、具体的・説明的な描写はない。それでも見る者の心にグサリと突き刺さり、彼女が本作にかけた思いがひしひしと伝わって来る。赤裸々で、繊細で、寂しさ、孤独、優しさを感じる作品であった。


展示風景

2015/03/03(火)(小吹隆文)

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